常に時代の半歩先を行くエクスペリメンタルなプロジェクトでダンスミュージックシーンを引率してきたプロデューサー。音楽一家に生まれクラシックピアノやチェロを学び、1989年にRichard D. Jamesと出会い音楽制作をスタートさせ、後の共同プロジェクトAphex Twinに繋がっていく。また、盟友Mark Pritchardと共にGlobal Communication、Jedi Knights、Reload等の名義でテクノ、ハウス、アンビエント、ドラムンベースなど、ジャンルの垣根を超え時代を経ても色褪せない名曲の数々を生み出してきた。特にGlobal Communication名義のアルバム「76:14」はアンビエントミュージックの金字塔としてシーンに刻まれている。その後ソロ活動にシフト。Tom MiddletonやCosmos、Amba名義でチルアウトな楽曲からダンストラックまで深みの或る美麗な楽曲を制作しており、ヨーロッパ屈指のアンビエント系フェスティバルThe Big Chillには第一回目の1994年よりレギュラー出演している。2002年にリリースした「Take Me With You」はハウスミュージックのチャートを賑わせ、これを契機にプロデュースやリミックスの依頼が殺到。Jamiroquai、Underworld、Chemical Brothers、Daft Punk、The Prodigy、Incognito、Mighty Dub Katz a.k.a. Norman Cook & Cagedbabyなど様々なアーティストを手がけてきた。更に同時進行で「The Sound Of The Cosmos」、「3D」、「The Trip 1 & 2」などのミックスCDを制作。作品の緻密な精度と配慮から各トラックの構造やキー、それらがどう機能し合っているかを熟知していることが伺える。また、2007年に発表したソロアルバム「lifetracks」では柔軟で曖昧な曲線をなぞるかのような珠玉のサウンドスケープが描かれている。それは彼がサンプリングを拒む代わりに自分でプログラミングした架空のオーケストラやバンドのセッション音源、そして自身で演奏した楽器を使った奥行きがあり暖かさのある音色を使用しているからであろう。幅広い音楽性をもとに紡がれる彼のDJスタイルも確固たる評価を博しており、イビザのManumissionでのレジデントやアジア諸国でもギグをおこなうなど、世界中で自身の音楽性を表現し、享受されている。