本名Ashley Burchett。もともとマスタリングエンジニアとしてキャリアをスタートした彼は90年代後半にØ(フェイズ)という名義のもと音楽制作をスタート。当時、ロンドンのテクノシーンを牽引していたSteve Bicknellの運営のもと、ディープかつサイケデリックなミニマルサウンドで独自の存在感を放っていたCosmic Recordsより、デビュー作にして名作となる「Module Overload」を2000年に発表。James Ruskinの盟友である故Richard PolsonのInceptive Recordsや、Ben SimsのIngomaといった00年代初頭のテクノを代表するレーベルに作品を提供した彼は、疾走感溢れるビートと鼓膜に絡みつくミニマルなシーケンスの組み合わせにより、展開の少なさを逆手に取った執拗で中毒性の高いスタイルを確立させた。2007年以降はTokenを拠点に10を超えるシングルと2枚のアルバムを制作。とりわけ、2012年のヒットシングル「Binary Opposition」や2013年のファーストアルバム「Frames Of Reference」は彼の躍進作となった。ベルリンのBerghainを筆頭に世界各地の主要クラブに頻繁に出演しながら、Planetary Assault Systems、Robert Hood、Marcel Dettmannといったアーティストにリミックスを提供し、シーンにおける地位を確固たるものにしたBurchett。2015年にセカンドアルバム「Alone In Time?」を発表後、昨今の90年代テクノへ回帰する流れと呼応しながら、新旧の世代からかつてない注目を集めている。