Drumcell a.k.a Moe Espinosaはロサンゼルスに生まれ、活気に満ちた多様な文化が交わる近郊の町、サンガブリエルバレーで育った。ホームタウンであるサンガブリエルバレーでRaiz兄弟と出会い、西海岸テクノパーティの代名詞とも言えるDroid Behaviorを設立し、またレーベル〈Droid Recordings〉も誕生する。
若くしてクラシカルな音楽を学び、ノイズ/パンク/インダストリアルといったオブスキュアな音楽へと次第に傾倒、いくつかのバンドではギターやボーカルを担当、その後LAレイヴシーンと出会う。
そして彼は次第にシンセサイザーの魅力に取り憑かれることとなる。そしてその熱意はNative Instrumentsのプロダクトスペシャリストとしてのキャリアへと繋がり、Nine Inch NailsのAlessandro Cortini、ToolのMaynard James Keenan、Nitzer EbbのDouglas McCarthy、Gary Numan、George Clinton、Kool Keith、Qbert、Cut Chemist等、著名なミュージシャン達のスタジオワークにも貢献した。
前述したハードワークをこなしながらも、自身の創作活動にも余念がなかった彼だが、2001年に初めてセルフプレスした自身のレコードをデトロイトミュージック・フェスティバルにて配ると、翌日にはその作品がフェスティバルのステージでプレイされていた。それ以来多様なテクノレーベルから作品やリミックスワークをリリース、常にシーンの先端を行くアーティストたちからの絶大な信頼とサポートを受けている。今や世界中を渡り歩くワールドワイドなアーティストの一人として活躍している。
2016年には彼の実験的なレーベル〈BL_K NOISE〉からアンビエントプロジェクトであるHYPOXIAをデビューさせた。サイエンスフィクションのサウンドトラックとJohn Carpenter、Wendy Carlos、Goblin and Vangelis等に触発されたそのサウンドは、フロアへ向けたそれとは一線を画し、瞑想的なドラマと豊かな質感を併せ持つ作品へと仕上がっている。
Drumcellはデジタル同様、アナログ的な手法も探求し自らのプロジェクトへと落とし込み、ジャンルの限界を超えた作品を世に送り続けている。