ウルグアイ出身、ベルリン在住のセレクター。
日本では、RAのポッドキャスト、DHSの「Holofonic Cuts」をリリースしたレーベル〈My Own Jupiter〉のオーナーという程度の情報しかなく、一部のフリークやヨーロッパ滞在経験者をのぞいてNicolas Lutzの動向を気にしている人はまだ多くないのかもしれない。ヨーロッパのシーンにおいて、系統は違うがEli Verveine、Jane Fitzなどと同様にリリース経験は無いが現場のDJのみで確固たる地位を築いてきたDJの一人で、キャリアは20年にもおよぶベテランである。
主にディープ、インテリジェント、かつファンキーな楽曲をクリエイティブな並びでスムーズに積み上げて行くロングプレイで注目を集め、盟友のBinhや新世代DJのEtienne、Andrew James Gustav、Francesco Del Garda、ベルリン発のレーベル〈Slow Life〉等と共に新しいシーンを作り出している。
DJからの信頼も厚く、いわゆるDJ’s DJに共通する資質としての選曲と、ミックスにおけるそのDJ固有の確固たる審美眼と、時の移り変わりに左右される事無くマイペースに掘り下げて行くタフさを併せ持った数少ないDJである。これはRAのポッドキャストと共に掲載されたインタビューからの抜粋であるが、「Just going on doing what I like: playing records, putting out some more releases on my label, enjoying the nice parties, enjoying the time with family and friends. This is what makes me happy.」――こんなレイドバックした姿勢にも共感が持てる。