本名、Jean-Guillaume Cabanne。トラックを芯の部分にまで削ぎ落としながら、音数の少なさを全く感じさせない濃密なグルーヴを実現するフランス屈指のミニマルハウスDJ/プロデューサー。
テクノがフランスへ伝わった90年代には既に音楽の世界へ身を置いていたCabanne。音楽理論を学び、ジャズとソウルへの造詣も深いギタリストである彼は、93年から98年までをファンクバンドFLAGのメンバーとして活動している。そうした活動に裏付けられた彼の作品では、隙間の多く取られたビートからふと醸し出されるような特有のエレガンスを感じることができる。
フランス人として初めてDaniel Bellのレーベル〈7th City〉からリリースを果たし、ミニマルダンスミュージックを代表する〈Perlon〉にもArkとのユニットCopacabannarkとしてその名を連ねるなど、ソロ活動当初からクオリティの高いプロダクションは多くの注目を集めた。Dimbiman a.k.a Zip、Luciano、Daniel Bell、Richie Hawtin、Akufen、Ricardo Villalobosなど錚々たるメンバーによるインプロヴィゼーション・プロジェクトNarod Nikiに参加したことも大きな話題を呼んだ。
〈Logistic Records〉傘下に〈Telegraph〉を設立したほか〈Minibarの運営を手掛ける等レーベルのA&Rとしても手腕を発揮し、David GluckとのUltrakurt、RhadooとのCabsumといったコラボレーションにおいても刺激的なリリースを送り出している。2016年10月には待望のアルバム「Discopathy」をリリース。自身のルーツであるジャズのエッセンスを多分に盛り込み、彼独自のミニマリズムに新たな地平を切り拓いた。