実験的電子音楽における真のパイオニアであり、まさに伝説と呼ぶに相応しいMoritz von Oswaldのキャリアは、まず80年代に遡り、ニューウェイヴ・バンド、Palais Schaumburgに盟友Thomas Fehlmannと在籍し人気を博す。
その後より実験的かつアンダーグラウンドなアプローチに傾倒していき、Fehlmannとの2MB (Juan AtkinsやEddie Fowlkesを加えた3MB)、そしてMark ErnestusとのBasic Channel、Maurizio、Rhythm & Soundとしての作品群は、現在でも最も革新的であり影響力を持つテクノ・サウンドとして、音楽史に刻まれる金字塔として愛され続けている。
ベルリンとデトロイト、テクノとダブ、歴史と未来を繋ぐキーパーソンとしての功績に甘んじることなく、近年もMax LoderbauerとTony AllenとのThe Moritz von Oswald Trio、Juan AtkinsとのBorderland、キルギスタンの音楽家Ordo Sakhnaとのコラボレーションといったプロジェクトで制作/パフォーマンスを続けながら、新たな電子音楽の可能性を切り拓き続けている。