Nobodyことエルヴィン・エステーラは、1990年代初頭から長年に渡りLAで活動を続けているまさにLAミュージックシーンの主のような存在である。Good Life Cafe、あるいはProject Blowedといったオープンマイクスポットでしのぎを削るラッパーたちのプロデュース業からスタートした彼のキャリアは、年月と共に、リミキサー及びプロデューサーへ、そして、LAの最重要ミュージックコレクティヴであるLow End Theory®のレジデントDJとしてチームの一角を担うまでに昇華を遂げてきた。楽曲のプロデュースやリミックスワークとツアーでこれまでに関わってアーティストには、The Postal Service、Prefuse 73、The Mars Volta、Aceyalone、Mia Doi Toddといった蒼々たる名前が並び、UbiquityやPlug Researchといった名門レーベルからリリースされた自身のソロアルバムについては、いずれもが高い評価を得ると共に、Nobodyサウンドと呼ぶことができる彼の音楽性をはっきりと印象づけるきっかけになった。自身のルーツであるヒップホップと、近年のソロワークス群に顕著なサイケデリアあるいは、ロック的なエレメントを自由自在に行き来する中で手に入れた広大なる音楽ボキャブラリーこそが、彼の持ち味であり、DJ Nobodyならではの唯一無二ミックスなのである。